TAMBOURIN GALLERYにて行われた朗読会から。
Biweekly poet vol.2 鈴川郁子 3月25日

顔をながめる
誤解せず 最後まで聞いてほしいのだけれど
朝 洗面所の鏡に映った自分の顔を見るのが好きだ
毎朝眼鏡をはずして 見えなくなった自分の顔を
鏡にぶつかりそうな距離まで 近よって確認する
すると ああ 昨日は夫の飲んだあとのシメに付き合って
私もデザートを食べてしまったから顔がむくんでいる だとか
昨日は夕飯を減らしたから
なんだか顔がすっきりしている だとか
大した変化でもないけれど 一人で観察しながら一喜一憂する
そんなふうに自分の顔を眺めていると
ふと今日の自分の顔は昨日の自分から受け取った顔なんだな なんて思う
きっと今も 様々な時間の自分が混ざっている顔をしていて
そしてそれを周囲の人達に見られてもいる
人間関係や
自分の体形
趣味
着ている服 etc... ...
沢山の物の中にも
過去と今の自分は混ざって存在しているんだよなと改めて思う
思いっきり泣いて 泣いたままいつの間にか眠ってしまった朝も
自分の顔を見ながらふと思った
誰かと気持ちがすれ違ってしまった時や
ああ失敗したあの一言 なんて後悔した時
ガツンと落ち込んでしまうけれど
昨日の自分や明日の自分にも助けてもらおうって
考えてみてもいいんじゃないかって
明日は 彼に元気にあいさつしてみようとか
今度 昨日彼女が話していた話題を話しかけてみよう とか
今だけではなく 色んな時間の自分の力を借りて
あなたや彼や彼女やあの人たちとつながってみる
昨日 今日 明日へと自分をつなげて
新しい日々をつくってみるってどうだろう
そんなことが自分を信じるってことなんじゃないかって
自分の顔をみながら思ったんだ
