special

思いつきと巡り合わせで生まれる「小さくて特別なもの」。

Biweekly poet vol.7

TAMBOURIN GALLERYにて行われた朗読会から

Biweekly poet vol.7 為田彩 7月8日

協力: TAMBOURIN GALLERY

 動画は音が小さいので、ヘッドホンをして聞いてみてください。 

散歩

真っ直ぐな道の真ん中を
目を閉じて歩くと
遠くで草を刈る音
牛蛙がウー、ウー、と鳴く声
空き地に生えた背の高い草がザァーという
その中で鳥たちがトゥトゥトゥピトゥと鳴く
 
下を向いて歩くと
トラクターが落として行った茶色い泥の跡
黒く干涸びたミミズ
タバコの吸い殻から、灰色の煙
白いスニーカーが、左右順番に、視界に入って消える
 
前を見て歩くと
風に吹かれて、髪が顔に触れる
後ろから来た軽トラの起こす風が、帽子を飛ばす
左手でキャッチ
 
後ろを向いて歩くと
背中で感じる一足先の空気
スニーカーの底とアスファルトが擦れて知る、地面のざらつき
大きく揺れながら遠ざかる「駐車場」の手書きの看板
 
上を向いて歩くと
空と、その青を薄める白い雲
川のそばの芝生の公園には誰もいなくて
丸い葉っぱがさらさらと揺れる木の下のベンチに寝転がると
帽子の下の顔まで、太陽の熱をムワっと感じた
 
2010.08.05 12:50