special

思いつきと巡り合わせで生まれる「小さくて特別なもの」。

2010年10月

Daily poet vol.37

ふと 

ふと
ぎゅっと
ぐっときて
どこにもいけない思いを
高らかな歌にのせる

2010.10.30 07:06

Daily poet vol.36

冷えた指先に 

冷えた指先にふれるカップのふちの温かさを感じるのに
すこし時間がかかる
心を落ち着けて丁寧にふれて
ああ、温かいのだと
納得する

2010.10.29 07:08

Daily poet vol.35

こもりこもり 

今日はこもるぞ
こもりこもりこもるぞ
外は雨だし
友達もこないし
今日はこもるぞ
こもりこもりこもるぞ
電話の線をひきぬいて
準備完了
こもりこもりこもるぞ
2010.10.28 06:56

Daily poet vol.34

集まった人はそれぞれに 

集まった人はそれぞれに膝を抱えて床に座った
わたしはこの人達と何を共有しているのだろうと不安に思う間もなく
詩を読んでいた

2010.10.27 07:11

Daily poet vol.33

一本の倒木 

大きな一本の倒木の上に見つけたもの
モミジの小さな小さな若い芽
薄茶色の平らなキノコ
ナナカマドの芽
蝉の抜け殻
たくさんの落ち葉 
ドングリ
一本の倒木が
ひとつの森をつくっていた

2010.10.26 06:54

Daily poet vol.32

原っぱにいこうよ 

原っぱにいこうよ
そんなふうに大きな声で呼びかけられるなんて
物語のなかだけのお話かと思っていたんだ

2010.10.25 07:52

マーガレット読書クラブ特別編 7

fantastic.jpg
私たちの本

「もう送りました?」
「まだ出来てない」
「だけは届いてる」
「後、あの人とあの方と」
「もう少し待ってみます」
「いつもギリギリですみません」
「朝までやってて」
「お疲れ様です」
毎月、毎月、交わされる
文章の締め切り前のやり取り
今月こそは、次こそはと
締め切りの日を意識するのだけど
いつの間にか
期限はあってないようなものになっていた
一ヶ月に一回、
文章のワークショップがあって
発表のようなイベントがあって
みんなの書いたものを冊子にして配る
ということで、
一ヶ月に一回
文章を書いて
表紙を担当している私は
表紙のための作品を作って
イベントのことを考えての繰り返し
毎月、毎月
一ヶ月というのは、あっという間で
イベントが終わって、一週間ひと息つくと
もう次の文章と作品に焦りはじめる
そんな追いかけっこの日々が6年ぐらい続いた
文章を書くことも
作品を作ることも
全くゼロから始まった
手探りで手を動かすことは悩むこともたくさんあるけど
何でもできるという可能性をそれ以上に持っていた
私たちは自由だった
なんのためにとか、どうなりたいとかを考えず
可能性の中で自分自身と向き合っていた
誰もやめようとは言わなかった
誰かがしようと言えば、うんと頷いた
そして、「間に合ってよかった」と
終わってから、みんなで笑い合う時こそが
次、その次への力となった
みんながいたから続けることができた
ひとりじゃないから喜び合えた
小さな冊子は53冊
そして、仲間の手によって一冊の本となった
人と人、そして人と、
繋がりや関わりから生まれた言葉の本
「なんでもいいから書いてみませんか」
誰でもが参加できる冊子だからこそ集まった自由な表現
この本から
次の誘いに続くのかもしれない
「もしよかったら、私たちの本に参加しませんか
テーマは......
一応、締め切りは......」
遠くの人や
これから出会うだろう人たち
どこかで手にした人の肩を、ぽんと気軽にたたく本
「出来るかもしれない」
私たちが最初に感じたような
そんな、小さなきっかけ
誰かのはじまりまりの本となって欲しい



『 Fantastic Something 』BOOKLORE

 BOOKLORE から出版した一冊目の本。それは、私たちが続けてきたことをまとめたものでした。小さな冊子を作っている時、ただ面白いことをしたくて、いろんな人に声を かけて文章を書いてもらいました。本になるなんて、全く思っていなかった頃のことです。でも、人との出会いの中で、時の流れるままに形になったこ とがとても自然だったことを覚えています。時間をかけて出来上がった本です。また、ここから時間をかけて、人から人に伝えていきたいと思っています。この機会に、手にとって、ぱらぱらとめくって頂けると嬉しいです。

畑尾和美
2010.10.22 06:14

マーガレット読書クラブ特別編 6

たまけんさん.jpg
 タマケンさんの船

ひとりの人の手によって
形を変えたあらゆる素材
それそのものに時間の流れがあり
声もなくたたずんでいた
ある日、手に出会い
日々の気持ちにふれて
船になった
風が吹き、落ち葉が舞う
落ちたみかんを誰かが拾い上げる
何気ない気持ちを注ぐことで生まれるものを
床に浮かぶ船に感じた
タマケンさんの「ええで」
何かをお願いした時の YES の返事が気持ち好い
タマケンさんの作った船はどこかに向っている
どこにと決める必要もなく
「ええで」の気持ちがあれば
「ここ」から「どこか」へ
それだけでいいような気がする
大切なのは
それを作っていた時間であって
共に過ごした人たちや
船となった形に何かを思う表情
そして、そこからはじまるもの
見渡して
しゃがんで、手をのばして触れて
静かに眺める
秋の夕暮れ、丘に浮かんだ船
言葉もなく
ただ、自分の船を探していた
目の前に広がるどこかを思って
浮かんでいた日々を思い出して



『 08_09 play with ships 一日一艘の記録 』  玉井健二  BOOKLORE

 タマケンさんこと、玉井健二さんの本を手にした人の表情を見ていると、気持ちの中の何かをくすぐられたのが伝わってきます。作品から感じられるものでもあるし、300艘だと聞いてからの説得力もある。タマケンさんは自分を作家とは言わない、船のことも工作だと言う。でも、そんな説明はいらない。本を開いただけで伝わるものがあるのということは、周りのみんなが知っている。「できあがった本は自分そのものだった」タマケンさんは言います。それは、300艘の船こそが今のタマケンさんで、最初の一艘が何人もの人の心を動かしたから生まれた一冊だと伝えたい。本は確かに漕ぎ出しています。共に私たちも、一掻きひと掻き進んでいきたい。

畑尾和美

2010.10.20 16:29

マーガレット読書クラブ特別編 5

ハマ.jpg
 はまちゃんの切り絵

「これはカズミンの木で、これがカズミンの輪っか」
はまちゃんが笑って言う
6年間、共にひとつの場所を見つめて来た仲間を
はまちゃんらしい切り絵でそれぞれに描いた
ひとつひとつ違う木なのだから
当然、枝の張り方、葉っぱのつけ方、根っこの伸ばす様子は違う
私の根っこは、ぐんと伸びていて特徴があるのだというけど
なんとなく幹の太さに自分の容姿を重ねた
なんにしろ、はまちゃんが自分を思って切ってくれたことが嬉しく
紙で描いた繊細な作品を観るたびに愛着がわいた
展示が終わって、しばらく経った頃
私の木が手紙と共に郵便受けに届いた
自分自身を見る思いで、その木に恥じないようにと
いつも目につくところに飾ることにした
月日が流れ
結婚を機に引越をして、新しい生活が始まった
木は
朝も夜も必ず見る場所
階段を上がったところの小さな窓に飾った
春から夏への移り変わりの頃
時間に追いかけられるような日々が続き
雨の降り続くある日に
窓のあたりに何かが足りないことに気がついた
私の木がない
どうしてなのかがわからず主人にも聞いてみる
そして、もしかしてと信じたくないことを思いつく
雨に誘われるように
風に舞うように
小さな窓から落ちてしまったことを
まさかと思って2階から下を見る
隣の家との隙間は狭く
流れる水の音だけが聞こえる
自分の手元からなくなったことが悲しくて
ただ涙があふれた
窓をのぞこうとして
下を向くから余計に何も見えなくなる
雨は同情する素振りも見せずに降り続いた
そのことを はまちゃんに話すと
「同じものはできないし」と笑っていう
泣きながら話すから、さらに困らせてしまう
あれから3ヶ月
あの後、隣の人に頼んで溝を見せてもらうことも考えた
でも、そうはしなかった
もしかして雨でぼろぼろになって、木は手元に戻ってくるかもしれない
流れてしまって、ないとわかれば諦めることもできたのかもしれない
そう思いながら、いつも窓の向こうを気にしていると
はまちゃんの切った木は自然の恵みの中で
次のぬくもりを生み出すようなイメージがふくらんだ
窓をのぞけば、はまちゃんの木がそこにあって
もしかして、本当に芽が出てくるのかもしれないと
私もここで、はまちゃんが描いた木のように
豊かな気持ちで根っこを伸ばせるのかもしれないと
はまちゃんの切り絵は
手にした人の物語に続いていく
私の場合は、なくしてしまった話だから
はまちゃんには申し訳ないのだけど
「カズミンの木」だと言ってくれた時の大切な思いは変わらず
温度のある作品として
私の中で日々成長し続けている



『年輪の温度』 濱田久美子 BOOKLORE

 はまちゃんの作品、輪っかと木は一冊の本になった。でも、はまちゃんの切り 絵は写真や印刷では伝わらない温度がある。手作業の温もりがある。ぜ ひとも 実物にふれて、そして彼女と話をして欲しい。そこに生まれる大切を持ち帰って 欲しい。はまちゃんの作品集「年輪の温度」は、はまちゃんや はまちゃんの作 品と出会うためのきっかけになることを願います。本物はどんなんだろう。この 人はどんな人なんだろう。そんな風に少しでも興味を 持ってもらえると嬉しい です。

畑尾和美
2010.10.19 07:42

マーガレット読書クラブ特別編 4

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『marguerite marguerite marguerite』永井宏 WINDCHIME BOOKS

はじめて永井さんに会ったとき、今からもう17年も前のことなんだけど、
マーガレットモチーフのかわいらしい作品をつくっていらっしゃった。

年上の大人の男性が「マーガレット」かあー。なんてね、意外だったんです。

あたしは花やの仕事を始めてたんですけど、大人の男性が好むのは、ばばんと
ゴージャスなバラとか百合とかランとか、どうだあー!豪華だろおーみたいな、
←ちょっと偏り過ぎかな?そういうものがいいって言う人をたくさん見てきてて。
そんでもって、かすみ草をプラス、みたいなね←笑
なぜにそこまでしておいて、かすませちゃうかって?ね、わかんないなあーと。

だから、永井さんから「マーガレット」って言葉を聞いた時、新鮮でした。
マーガレットはとっても茎が華奢で、葉はたくさんの水分を含んでしっとりしてて、
つぼみはきゅっとくるみボタンみたいに固くってね。
水持ちがあまりよくないから下処理に気を使う花ではあります。

派手さはないけど春の風に揺れながら。

さりげないけど、強い花。

で、この本のタイトル、マーガレット三唱。まるでなにかの呪文みたいな、
言葉にしたら、これまたふっと背中ちょこっと押されるような。
花びらプロペラに空を飛ぶのはなにも伯父さんばかりじゃないよな、と。

毎年春がやってくると、永井さんのこと思いながら、マーガレットの水揚げ作業を
やってます。って、なんだかラヴレターみたいになっちゃった?!

いつもいろんなことを教えてくれて、ありがとう!永井さん!!

岩﨑有加
2010.10.17 19:50